TNFD

TNFDについて

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures 自然関連財務情報開示タスクフォース)は、経済活動が自然に依存するとともにインパクトを与えているとの認識のもと、自然が企業にもたらすリスクと機会を報告し、適切な行動を取るための開示枠組みを策定する民間イニシアティブです。その究極的目標は、お金の流れが自然にとってマイナスとなる活動からプラスとなる活動に振り向けられるようにすることにあります。

TCFDとは違う組織なのはなぜか

TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures 気候関連財務情報開示タスクフォース)はG20の金融安定理事会(Financial Stability Board)により設置されたもので、FSBから負託された事項に活動は限定されます。機構の名称が示すように、対象は気候関連と定められているため、気候に限定されない様々な自然環境を取り扱うことはできません。そこで、民間主導で自然関連についてもTCFD同様の開示枠組みの策定を目指すことになりました。

タスクフォースの構成

座長:デビッド・クレイグ(元リフィニティブCEO) ラザン・アル・ムバラク妃殿下(IUCN会長)
メンバー:金融機関17機関・企業17社・サービスプロバイダー6機関
日本からのメンバー:原口真(MS&ADインシュアランスグループ)・秀島弘道(農林中央金庫)

TNFDの特徴1 
開発方針

TNFDでは開発当初から、オープンイノベーションアプローチを標榜し、企業や市場関係者、市民社会、行政等、様々な関係者からの意見を取り入れながら段階的に作成を進めています。2022年3月に最初の草案(ベータ0.1)を発表して以降、2022年6月、2022年11月、2023年3月と草案の発表を重ね、2023年9月に確定版(V1.0)が発表されました。

TNFDの特徴2 
TCFDとの整合性と独自性

すでに世界的にTCFDがサステナビリティ報告の枠組みとして普及していることを踏まえ、TNFDでは基本的な構成はTCFDを踏襲しています。ガバナンス・戦略・リスク管理・測定指標とターゲットという4本の柱からなる開示提言と、全セクターに共通するガイダンスとセクター別ガイダンスの二階建である点は、TCFDと共通です。同時に、自然特有の要素を踏まえ、TCFDにはない「一般要件」の設定や、バリューチェーンを上流・下流・投融資先の三種類に切り分けている点など、違いも見られます。また、ステークホルダーとの関係に重きを置いており、専用のガイダンスを発表している点もTCFDとは大きく異なっています。

TNFDの詳細の把握方法1 
ウェブサイト

TNFDのウェブサイトは多言語対応となっており、AI翻訳のため正確性には欠けるものの、日本語での閲覧が可能です。また、概要版及び開示提言全文は、日本語版も用意しており、PDFとしてダウンロードが可能となっています。
TNFDの開示提言には、シナリオ分析に関するガイダンスやステークホルダーエンゲージメントガイダンスも含まれており、内容が多岐にわたります。現在発表されている文書は以下になります。

TNFDの詳細の把握方法2
TNFDフォーラムへの加盟

TNFDでは、TNFDの趣旨や目的に賛同する組織向けに「TNFDフォーラム」というメンバー制度を設けています。ベータ版の発表は常にフォーラムメンバー向けのウェビナー(英語)で行われてきました。現在もメンバー向けに新たな発表や意見募集の案内、パイロット事業のお知らせ等がメール配信されています。

また、国・地域別に協議会が設置されており、日本では2022年6月に日本協議会が立ち上がりました。日本協議会はTNFDフォーラムメンバーであることが参加資格で、フォーラムに加入すると自動的に加入となります。協議会では、英語でのウェビナー視聴が難しい方もいることを踏まえ、日本のタスクフォースメンバーによる日本語での解説ウェビナー等を開催しています。

TNFDフォーラムへの加盟は無料ですが、事務局にオンラインで申請し、事務局審査を経て加盟が可能となります。審査の目的は反社会勢力等にTNFDが悪用されることを防ぐためです。また個人は参加できません。

TNFDは進化を続ける開示枠組みです。最新の内容は必ずTNFDのサイトでご確認ください。