パーム生産者にも向けられる情報開示の目

投稿者: | 2017年05月08日

「生きている地球指数(LPI)」をWWFと共同発表しているロンドン動物学協会(略称ZSL)では、2014年に投資家向けに「持続可能なパーム油透明性ツールキット(略称SPOTT)」を開発し、パーム油生産企業の評価情報を提供しています。先日東京で開催された「RI Asia2017」でSPOTTの発表を行った担当者Clara Melot氏にお話をお聞きしました。

 

SPOTTについてはこちら

 

-SPOTTはイギリス政府が資金を提供していますね。

 

Melot:はい、イギリス気候変動ユニット(UKCCU)から助成金を得ています。気候変動ユニットというのは、国際開発省(DFID)・外務及び英連邦省(FCO)・エネルギー気候変動省(DECC)による省庁横断型部署で、持続可能な開発と気候変動に関する目標を実現させるための取り組み支援を目的としています。気候変動と森林減少は密接に関係していますし、森林減少の要因となっているコモディティは途上国における持続可能な自然資源利用の問題に他なりません。

 

-森林減少要因のコモディティに関わる投資家向けの情報開示としてはCDP Forestがありますが、違いは何でしょうか。

 

Melot:CDPはパーム油製品の製造企業や販売企業を対象にアンケート調査を実施するものですが、SPOTTはバーム農園を経営する企業を対象として、公開情報に基づいた評価をしています。評価対象となった企業に評価結果の事前確認は実施していますが、アンケート調査とは異なります。こちらからの事前確認に対して返答が無い場合は、当初の評価結果のまま公開しています。

 

-評価の体制は。

 

Melot:評価項目や評価基準等の方法論開発は、投資家やバイヤー、NGO等から構成されるマルチステークホルダーのテクニカルグループが行います。この方法論に則り、ZSLのスタッフ10名から成る評価チームが、データの収集と解析にあたります。1社あたり1日かけています。ここで作成した評価を対象企業に送付し2-3週間ほど回答を待ちます。回答があればそれを加味して最終的なデータとして公表します。

 

-このツールは投資家向けですが、アセットマネジャーに対してはどう広めているのですか。

 

Melot:そもそも投資家からこうしたツールを要望する声があったので、SPOTTを開発しました。ただこちらも、今回参加したRI Asiaのような外部のシンポジウムやセミナーで発表したり、会場でのネットワーキングを通じてアセットマネジャーの方々にお知らせしています。ガーディアンのLive Debateも広める良い機会の一つですね。

 

-SPOTTの紹介リーフレットに「成功を収めた」と書かれていますが、どのような意味で「成功」と考えているのですか。

 

Melot:SPOTTは無料のオンラインデータベースなので、基本的にはアクセス状態です。月間の利用者数(ユニークユーザー)は6100を超えています。国別でみると約三分の一がイギリスとUSからですが、生産国であるマレーシアやインドネシアからもアクセスがあります。

SPOTT地域別アクセス状況(ZSL提供)

 

-日本の金融セクターからのコンタクトはありましたか

 

Melot:PRIのパーム油作業部会で活動されている三井住友信託銀行とは直接お話をさせていただいていますが、他には今のところありません。

 

-実際に活用されている手ごたえは

 

Melot:一例として、Credit SuisseやAviva Investors、Kepler Chevreuxで利用されていることは確認しています。また、生産者側からもEagle High PlantationやNoble Groupから事業改善に役立つとのコメントを頂いており、SPOTTの年次報告書に掲載しています。

 

-今後の予定は

 

Melot:パーム以外のコモディティへの展開を予定しています。まず今年中に木材紙パルプ用ツール、その後要望が寄せられているゴムやサトウキビ、水産養殖も検討候補として考えています。パームについては指標の改定作業を行っており、7月頃には発表できると思います。開示状態を評価する指標のカテゴリーが追加され、指標の数も増えるので、一社当たりの作業日数が2日かかるようになる見込みです。

 

 

*評価の方法論やZSLに関する情報等、全容紹介(有料)を近日中に掲載する予定です。

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  1. ピンバック: パーム油生産企業評価ツールが大幅改定 – SusCon Japan

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